過去4回にわたって高血圧を改善する健康食品をご紹介してきましたが、このご紹介は今回を一区切りとさせて頂きます。
また今後、ご紹介させて頂きたい血圧低下作用のある健康食品を知った際には、また投稿させて頂きます。
今回ご紹介させていただく健康食品はキチン・キトサンとコエンザイムQ10です。
現在、高血圧治療薬を服用されている方が、キチン・キトサンやコエンザイムQ10を健康食品やサプリメントとして摂取する場合は、低血圧などの有害事象が現れることがあるため、事前にかかりつけの医師や薬剤師に相談の上で摂取するようにして下さい。
目次
キチン・キトサン
キチン・キトサンはカニの甲羅やエビの殻に多く含まれています。
キチンとキトサンは厳密には異なる物質ですが、人工的に生成される過程において、混ざり合ってできるため「キチン・キトサン」と一緒に扱うことが多いです。
キチン・キトサンは吸着作用が高く、血圧上昇の要因となる塩分を吸着し、体外へ排泄することで血圧低下作用を示します。
血圧低下以外にも、以下のような効果があります。
- コレステロール値を改善させる
- 脂肪の蓄積を防ぐ
- 解毒効果
- 免疫力を高める
1~3の効果については、キチン・キトサンが有害または不要な物質を吸着し、体内から体外へ排出する作用によるものです。
4については、「マクロファージ」と言う免疫機能で重要な役割を持つ細胞の働きを活性化させることによります。
マクロファージは、体内に入ってきた細菌やウィルスを食べてしまうことで無害化します。
キチン・キトサンを摂取する際の注意点
上述したように、キチン・キトサンはエビやカニ由来の成分です。
甲殻類アレルギーの方は、摂取によりアレルギー症状を引き起こすことがあるので控えて下さい。
また、吸着作用により排出しやすくするのは体に有害なものだけでなく、必要なものも含まれます。
具体的には脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)や必須脂肪酸(リノール酸とα-リノレン酸)が吸着され排泄されることで不足しやすくなるので、積極的に食事などで補うようにしましょう。
以下に各栄養素を多く含む食品を挙げます。
- ビタミンA・・・鳥レバー、焼き海苔、モロヘイヤ、パセリ、あんこうの肝
- ビタミンD・・・あんこうの肝、しらす干し、すじこ、いくら、鮭
- ビタミンE・・・あんこうの肝、いくら、あゆ、いわし、モロヘイヤ
- リノール酸・・・ひまわり油、とうもろこし油、大豆油、ラー油、ごま油
- α-リノレン酸・・・亜麻仁油、エゴマ油、キャノーラ油、大豆油
(※参考 簡単!栄養andカロリー計算)
しかし、脂溶性ビタミンは体に蓄積されやすい性質を持ちますので、過剰な摂取は控えるようにしましょう。
その他、キチン・キトサンは消化されにくいため、胃腸が弱い方は摂取し過ぎると腹痛などの原因となります。
コエンザイムQ10

コエンザイムQ10は20代をピークに体内で減少の一途を辿ります。
この理由は、歳をとるにつれて体内で合成されにくくなるためです。
心臓に存在するコエンザイムQ10は40歳ではピークの約70%、80歳では半分以下にまで減少すると言われています。
食事で摂取することは可能ですが、コエンザイムQ10を多く含むと言われるイワシでも1日に約20匹分を摂取しばければ、日本コエンザイムQ協会が推奨する摂取量にはなりません。
コエンザイムQ10は体内でどのように働くのでしょうか?
まず、食事から得られた栄養素を元に、体内で「アセチルCoA」と言う物質が作られます。
コエンザイムQ10は、この「アセチルCoA」からエネルギーを作り出す際に必要な補酵素なのです。
このため、コエンザイムQ10が不足した場合、例えば心臓では、エネルギー不足でポンプ機能が不十分になり、動悸などを起こしやすくなります。
コエンザイムQ10は医療用医薬品でもユビデカレノンと言う一般名(成分名)で、うっ血性心不全の治療薬として使用されています。
コエンザイムQ10は心臓以外にも、腎臓や肺、肝臓にも含まれているため、不足することにより、該当の臓器で機能障害が起こりやすくなります。
血圧低下作用以外にも以下のような作用があります。
- 風邪の予防・治療
- 疲労回復
- 肩こり・冷え性・むくみ改善
- 歯周病の予防・改善
- 肌荒れ改善
- 不妊症改善
コレステロール値を下げる薬の「スタチン系」を服用している方はコエンザイムQ10が不足しやすい
「スタチン系」と言われるコレステロール値を下げる薬を服用されている方は、コエンザイムQ10が体内で減少しやすくなっています。
その理由は、まずスタチン系の薬は、コレステロールが作られる過程で生成されるメバロン酸が合成されるのを阻害します。
コエンザイムQ10は、メバロン酸から合成されるため、スタチン系の薬剤は結果的にコエンザイムQ10の合成も阻害してしまうためです。

これにより、スタチン系のコレステロールの薬を服用している方は、コエンザイムQ10が不足した時に起こりやすい症状(倦怠感や免疫力低下、肩こり、冷え性など)が出やすくなります。
コエンザイムQ10を摂取する際の注意点
コエンザイムQ10には「還元型」と「酸化型」がありますが、体内で利用される形は「還元型」です。
通常、酸化型のコエンザイムQ10が体内に入ってきた場合、体内で還元型に変換することで利用できるようにします。
ただ、この変換能力が高齢者などでは低下しているため、高齢者では直接体内で利用できる形である還元型コエンザイムQ10を摂取して頂いた方が効果的なのです。
しかし、通常は還元型コエンザイムQ10は酸化型コエンザイムQ10より高価ですので、若い方には酸化型コエンザイムQ10がおすすめです。
コエンザイムQ10には血圧低下作用があるため、高血圧治療を受けている方は、摂取前にかかりつけの医師や薬剤師に相談した上で摂取するようにして下さい。
また、コエンザイムQ10やαリポ酸には、まれに低血糖を起こす可能性があるため、特に糖尿病の治療をされている方などはかかりつけの医師に確認してから服用するようにしましょう。
以上、「血圧低下作用のある素材(キチン・キトサン、コエンザイムQ10)」でした。
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