パンシロンで血圧が高くなるの!?添付文書にも載ってない怖い話

パンシロン・高血圧

先日、薬局にこんな患者さんが来ました。

お姉さん
こんにちは。
処方箋じゃないんですが、ちょっと相談させてもらえますか?
JIN
こんにちは!
はい、もちろんです。
どうされました?
お姉さん
以前、会社の定期健診で血圧が高めだと言われたので、今日病院に行ったら血圧は140/90だったんですけど先生からは「しばらく運動や食事で様子をみるように」と言われました。
そこで、先生に市販薬を飲んでるか聞かれたので、パンシロンを毎日飲んでいることを伝えたら、先生から市販の胃腸薬は血圧を上げることがあると言う話を聞いたんです。
これって本当なんですか?

パンシロンで血圧が高くなることがあるのか?

結論から言うと、長期間継続的にパンシロンを服用すると血圧が高くなる危険性は上昇します。それは、生活習慣の見直しをしていない方であれば、尚更です。

高血圧のみならず、以下の症状や病気も引き起こしやすくなると言えます。

  1. むくみ
  2. 骨粗鬆症
  3. 胃がん
  4. 認知症
お姉さん
血圧が高くなる以外にもそんなに悪影響の恐れがあるんですか!?
でも、なんでパンシロンはそんなリスクが高いのか不思議です。

パンシロンで血圧が高くなる理由

パンシロンなどの胃腸薬には「炭酸水素ナトリウム」と呼ばれる成分が配合されています。以下は「パンシロン」の配合成分です。

パンシロンG配合成分

これは、一般的に「重曹」とも呼ばれ、食品に配合されていたり、掃除用品としても使用されることがあります。

実は、この炭酸水素ナトリウムが血圧を上昇させる恐れがあるため、パンシロンなどの胃腸薬を継続的に服用していると高血圧の危険性が高まるのです。

お姉さん
血圧が上がるのは食塩なんじゃないんですか?
食塩はよく血圧を上げちゃうって聞きますが、炭酸水素ナトリウムが血圧を上げてしまうってのは聞いたことがありません。
JIN
食塩は食品などで多く使用される機会がありますが、炭酸水素ナトリウムが使用されることはそれほど多くありません。
実際は炭酸水素ナトリウムも血圧上昇の原因となる成分なのですが、あまり認知されていないのはこの違いなのではないかと思います。

血圧上昇を引き起こすのは「ナトリウム」

血圧を上昇させる成分はパンシロンに含まれる「炭酸水素ナトリウム」であることを既に説明しましたが、実際に血圧を上げるのは炭酸水素ナトリウムが体内で分解されて生じる「ナトリウム」です。

このナトリウムは様々な食品に含まれていますが、血圧上昇を引き起こすことで最も有名な成分として「食塩」があります。

お姉さん
食塩が血圧を高くするんだと思っていましたが、実はナトリウムが悪者だったんですね。
つまり、このナトリウムが入っているものは血圧を高くすると考えて良いのでしょうか?
JIN
その通りです(^^)

パンシロンに含まれるナトリウムはどの程度あるのか

ここからの説明は少し難しくなるため、分かりにくい方は少し読み飛ばして頂いて、次の「パンシロンに含まれるナトリウムの食塩相当量」から読んで頂いても結構です。

パンシロンに含まれる炭酸水素ナトリウムのうち、ナトリウムだけの量がどのくらいあるのか考えていきたいと思います。

炭酸水素ナトリウム(NaHCO)は分子量(分子の重さ)が84.0です。この内、ナトリウム(Na)の原子量(原子の重さ)は23.0です。

つまり、炭酸水素ナトリウムが1000mgあれば、約274mgのナトリウムが含まれていることになります。

1000mg×23.0÷84.0≒274

このことから上記のパンシロンには、1日分に炭酸水素ナトリウムが1950mg配合されていると記載されていますので、約534mgのナトリウムを摂取することになります。

1950mg×23.0÷84.0≒534mg

お姉さん
これだけでは、このナトリウムの量が多いのか少ないのかピンと来ないわ・・・。
JIN
そこで、次にこのナトリウムの量は「食塩に換算するとどのくらいの量になるのか」を考えて行きます。

パンシロンに含まれるナトリウムの食塩相当量

JIN
パンシロンに含まれている炭酸水素ナトリウムが、血圧上昇の誘因となることをもっと詳しく説明するには、「パンシロンに含まれるナトリウムの食塩相当量」を考える必要があります。
お姉さん
食塩相当量?
初めて聞きました。
それは何ですか?

食塩相当量とは、食品などに含まれていて血圧上昇の原因となるナトリウムの量が、食塩の量に換算するとどのくらいになるのかを示したものです。

JIN
高血圧の方は、1日の食塩摂取量を抑えるように指導されているため、食塩で○○gと記載されていると理解しやすいんです。
お姉さん
確かに食塩の量だと、実際に料理でも使っているので分かりやすいですね。

パンシロンの1日分のナトリウムの含有量は約534mgであると前項で計算しました。このナトリウムの食塩相当量は以下のように計算します。

534(mg)×2.54÷1000≒1.36(g)

簡易的には以下でもOKです。

534(mg)×2.5÷1000≒1.33(g)

上記の「2.54」や「2.5」と言う数字は、食塩の分子量からナトリウムの原子量を計算したものですが、詳細は難しい話になりますし、有名な数字なので覚えてしまった方が早いので、ここでは割愛します。1000で割っているのは、食塩の量をmg→gへと計算するためです。

従って、パンシロンの1日分には、食塩換算で約1.3gのナトリウムが配合されていると言うことになります。

お姉さん
薬を飲むだけで1日1.3gの塩分を摂取していると考えると、ちょっと驚きですね。

高血圧患者に推奨される1日の塩分摂取量は

日本高血圧学会では、高血圧患者には食塩摂取量1日6g未満を推奨しています。

お姉さん
1日6g!?
そんなに少ないんですか?

毎日、パンシロンを服用している方は、食塩を4.7g未満に抑えなければならなくなり、とても困難な目標値になります。

また、血圧が高くなかったとしても、日本人の食事摂取基準 |厚生労働省によれば、男性は食塩摂取量1日8g未満女性では1日7g未満を目標値としています。

事実、この量は何も気にせずに食事をしていると、簡単に超えてしまう量です。それに、プラスして1.3gの食塩が加われば、血圧が高くなりやすいのは、火を見るよりも明らかです。

お姉さん
食塩摂取量を1日6g以内で抑えるにはこれからどんな食事をしたらいいのか不安になりますね。
JIN
1日6g以内で食事をしようとすると、標準的な日本人からするとかなり塩分は少なめになります。
しかし、そう言うと食事に幸せを求めることができないように考える方も多いですが、「酸味」や「辛み」をうまく利用することでそこまで我慢せず食事を楽しむことができますよ。

炭酸水素ナトリウムが含まれる胃腸薬は長期間継続的に服用すべきではない

パンシロン服用によりいかに高血圧になりやすくなるのか解説してきましたが、市販の胃腸薬のうちパンシロンだけが血圧を上げる原因となる訳ではありません。

市販の胃腸薬は、炭酸水素ナトリウムを含む商品が数多くあり、特に高血圧患者ではしっかりと確認をして購入する必要があり、少なくともそのような商品を長期間継続的に服用すべきではありません。

炭酸水素ナトリウムを含む胃腸薬を服用する時は、血圧測定をしておくこともお勧めです。血圧が上がる場合は中止して、炭酸水素ナトリウムなどの血圧上昇を引き起こしやすい成分が入っていない商品を選ぶか、専門医に受診するようにしましょう。

お姉さん
炭酸水素ナトリウムはどんな効果があるんですか?
そもそもその成分は必要なのかしら。
JIN
胃の痛みなどの不快感は胃酸が出過ぎていることが原因であることが多いのですが、炭酸水素ナトリウムは出過ぎた胃酸を中和することでその症状を抑えることができるんです。
お姉さん
胃腸薬には必要な成分なんですね。
でも、私も毎日パンシロンは服用していたのでお薬の説明書は一通り目を通していたのですが、そんな血圧を上げちゃう可能性があると言うような説明書きはなかったように思います。

パンシロンなどの炭酸水素ナトリウムを含む胃腸薬の添付文書には高血圧の注意喚起はされていない

以下はパンシロンの「使用上の注意」の欄の記載事項です。

パンシロン使用上の注意2

ご覧のように、このパンシロンの添付文書には「高血圧に対する注意喚起」が記載されていません。

これはなぜなのでしょうか?

理由は、パンシロンなどの胃腸薬は長期連用を想定していないためです。基本的には市販の胃腸薬は、一時的な不快感などの症状を緩和するための薬であり、長期的・慢性的に症状が続く場合には専門医に受診すべきなのです。

ちなみに、上記のパンシロンの画像の「してはならないこと」の4番を見てみると「長期連用しないで下さい」と記載があります。

また、ナトリウムにより高血圧が引き起こされるのは、基本的には短期間の摂取ではありません。長期間、過剰に摂取を続けることで、徐々に血管が動脈硬化を起こしていき、血圧が高くなりやすくなります。血圧が高くなると動脈硬化はさらに進展しやすくなると言う悪循環もあります。

まとめると、炭酸水素ナトリウムを含む胃腸薬の添付文書に高血圧の注意喚起がない理由は、高血圧は長期でナトリウムを推奨量以上摂取した場合に起こりやすいものであり、短期間の服用のみを想定してつくられているため、そのような記載はされていないのです。

血圧が高い方がパンシロンなどの胃腸薬以外で注意すべき医薬品・健康食品

お姉さん
胃腸薬が血圧上昇に要注意であることはよく分かりました。
もし、その他にも血圧が高い方に注意すべきものがあれば教えてもらえませんか?

医療用医薬品でも血圧が高い方に注意すべきものはたくさんあるのですが、医療用医薬品は処方される際に医師や薬剤師が説明しているはずですので、ここでは割愛させて頂きます。

一般用医薬品(市販薬)

市販薬は、例えば風邪薬や鼻炎薬、鎮痛剤の多くには血圧を上昇させる成分が入っています。これらは血圧が高い方には注意が必要です。

購入の際は、薬剤師や登録販売者に高血圧があることを伝えた上で確認をしてもらい購入するようにしましょう。

高血圧に注意が必要な市販薬
  • 交感神経刺激薬
  • 抗炎症薬(グリチルリチン酸)
  • 副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド)の点鼻薬
  • テストステロン製剤、メチルテストステロン製剤、エストラジオール製剤
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
  • 抗コリン薬
  • アンチスタックス
  • 育毛剤(ミノキシジル(リアップシリーズ))
  • 炭酸水素ナトリウムを含む胃腸薬
  • エパデール
  • コエンザイムQ10製剤
  • 禁煙補助剤
お姉さん
結構たくさんあるんですね。
JIN
続いて、血圧を上げやすい生薬をみていきます。

生薬

生薬では以下のような成分が血圧を上昇させる恐れがあります。

血圧が高い方に注意が必要な生薬
  • カンゾウ
  • マオウ
  • エゾウコギ
  • 高麗人参

市販の栄養ドリンク剤や漢方薬には入っている事が多いため、上記の市販薬同様、しっかり確認してから購入しましょう。

例えば、葛根湯は有名な漢方薬だと思いますが、マオウもカンゾウも配合されています。

食品

健康食品などでも、血圧が高い方は慎重に摂取すべきものはたくさんあります。

血圧が高い方に注意が必要な食品
  • アサイヤシ
  • コエンザイムQ10
  • 経口補水液(OS-1など)
  • フェニルアラニン
  • アルコール
  • タバコ

脱水症状を予防するためのOS-1などの経口補水液は、塩分を多く含むものがあります。

血圧が高い方は、摂取上限が設けられている場合がありますので、かかりつけの医師や薬剤師によく確認してから摂取するようにしましょう。

アロマ

医薬品や健康食品には高血圧に注意が必要なものがあることをご存じの方は多いのですが、アロマにも血圧を上げる作用があるのです。

血圧が高い方に注意が必要なアロマ
  • ローズマリー
  • ペパーミント

私の知る限りでは、上記の精油(アロマオイル)は刺激があり血圧を上げる作用がありますので、高血圧の方は注意が必要です。

香りは感情や本能を支配する大脳辺縁系にダイレクトに作用します。また、香りの信号は大脳辺縁系へ到達した後、自律神経の最高中枢とも言われる視床下部、そしてホルモン分泌に関与する下垂体へと伝わります。

このようにして、アロマ(香り)は全身の機能に働きかけます。

まとめ

パンシロンには炭酸水素ナトリウムと呼ばれる成分が入っており、これにより血圧上昇を引き起こしやすくなります。

炭酸水素ナトリウムはパンシロンだけでなく他の市販の胃腸薬にも幅広く使用されており、長期連用は避けるべきです。

一時的な胃の症状にのみ使用し、症状が継続する場合は専門医に受診することをお勧めします。

 

以上、「パンシロンで高血圧になりやすくなるの!?添付文書にも載ってない怖い話」でした。

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